先日、毎日新聞にて『ペット葬儀』の特集が組まれました。
当会の代表霊園・慈恵院(多摩犬猫霊園)も掲載されています。
しかし残念なことに(前回の月刊SPAに続いて)当会も反対している、『訪問火葬』の事例が掲載されていました。
※訪問火葬とは、車やトラックなどに800度や1000度以上も温度が上がる焼却炉や、発電機、灯油を積載し焼却する形態。移動火葬車ともいう。

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ペットの葬儀 多様化
家族の大切な一員として、ともに暮らしたペットとも別れの時は来る。手厚く葬りたいという人が増え、葬儀は多様化している。
●「個別葬選択3割」
1921(大正10)年からペットを供養する東京都府中市浅間町の「慈恵院」多摩犬猫霊園を訪ねた。境内を歩くと、愛犬を連れた参拝客や、涙をぬぐう喪服姿の女性も。ペット墓地のほかロッカー形式の納骨堂があり、花や写真、使っていた食器などが飾られていた。同院渉外担当の藤森一登さん(48)は「毎日お参りに来る方もいらっしゃいます」と話す。
同霊園は供養から火葬、収骨、納骨を一貫して行う。供養を寺院に一任し、大型炉で複数のペットをまとめて火葬する「合同葬」▽読経してお別れ後、火葬し、家族が収骨、納骨する「立ち会い葬」▽お別れ後、いったん寺院に預け、寺院が立ち会い葬のない時間に個別に火葬、納骨する「個別葬」−−がある。個別葬と立ち会い葬は、人でいう三回忌にあたる2年間、院内の納骨堂に遺骨が安置され、お参りは365日可能だ。
料金は、チワワやトイプードルなどの小型犬(10キロ未満)の場合、立ち会い葬5万円▽個別葬3万円▽合同葬1万8000円。ゴールデンレトリバーや秋田犬などの大型犬(35キロ未満)だと、立ち会い葬6万7000円▽個別葬4万7000円▽合同葬3万7000円だ。引き取りのほか、立ち会い葬と個別葬には骨つぼ代、2年間の納骨料も含まれる。
広報担当の杉崎哲哉さん(49)によると「以前はほとんどが合同葬でしたが、現在は2割の方が立ち会い葬を、3割の方が個別葬を選ぶ」という。僧侶が読経し、戒名に準じたものを渡す。「家族の一員として、人と同じように弔いたい」という要望は年々高まり、ひつぎに愛用の品を入れたり花を手向けたりする飼い主が多いという。
●自治体対応も変化
法律上で、ペットは「物」として扱われる。自治体では、死んだペットは一般廃棄物として焼却されてきたが、近年は専用の火葬場を備える自治体も増えている。千葉県市川市や大阪府箕面市などでは焼却施設に動物専用の炉を設置しており、遺骨の引き取りも可能。一方、横浜市や埼玉県では公営斎場の一部にペット用火葬場を設けている。
ペットと人が一緒に入れるお墓も増えてきた。全国では100カ所を超えるといい、仏事サービス「メモリアルアートの大野屋」(東京都新宿区)は「ペットも埋葬できる『ウィズペット』は2003年の発売当初から人気」と話す。
斎場「セレモあらい」(群馬県太田市)は、自宅で供養したい入向けのペットモニュメント(墓石)を扱う。小さいものは高さ24センチで、マンションでも置ける。ペットセレモ事業部は「手元に置きたいという要望に応えた」という。
●訪問葬トラブルも
一方でトラブルも増えている。国民生活センターには年間500件のペット関葱相談があり、10年ほど前かうは「訪問火葬」に関する相談が増えた。火葬用の炉を積かだ車で利用者宅を訪ね、預かって付近で火葬し、遺骨を引き渡すサービスで、「ホームページを見て移動火葬車を頼んだら、掲載料金より何倍も高額な金額を請求され脅された」 「別のペットの骨が入っていた」などの苦情が寄せられた。センターは、依頼の際には▽業者の住所や週絡先▽火葬に立ち会えるか▽火葬は個別か合同か▽火葬場所▽遺骨は返してもらえるか▽火葬費の料金表や追加費用の有無▽追加費用の内容--などの確認を呼びかけている。
ペットと死別後の喪失感で心身に不調をきたすペットロス」にならないためにも、杉崎さんは「供養した実感を得られる葬儀は大切」という。杉崎さんが勧めるのは、葬儀施設の事前見学だ。「お別れの時は必ず来ます。どんな形で弔いたいのか、ペットが元気なうちに、霊園や斎場を実際に見学してイメージしてほしい」。火葬料なら、体重別の闘用一只ひつぎや骨っぽなど葬祭用品の種別や料金も確認しておきたい。自身の最期を考える「終活」が注目されているが、ペットの[終活]は飼い主の務めといえそうだ。【藤田祐子、写真も】